子供向け空手道とは

2012年から中学校の武道の必修化がスタートし、体育授業で空手道を取り入れる学校も増えています。

空手道の試合や練習では、基本的には相手と接触しないため、ケガが少ないという特徴があります。安全に配慮した武道スポーツのため、ご両親・お子様ともに安心して続けられるのは大きな魅力といえるでしょう。

本記事では、子供向けの空手道についての基礎知識や、道場選びのポイントについて解説します。お子様の通う道場を探している方は、ぜひ道場選びの参考にしてください。

子供に人気の空手道

空手道は、お子様の習い事としても年々人気が高まっています。

空手道は、4~5歳頃から始めることができます。最も多いのは、小学生になってから、近所にある空手道の道場に通い始めるというケースです。特に、小学校の2~3年生頃から、男女ともに道場に通い出すお子様が増える傾向にあります。

※空手道の稽古をスタートできる年齢は、道場や団体によって異なります。

なお、全日本空手道連盟(JKF)の加盟道場では、試合や練習で相手に直接触れない「伝統空手」のみを扱っています。無料体験を実施している道場も多くあります。空手道の道場を探す場合は、まず無料体験を通して、練習内容や指導方針がお子様に合うかどうかなどを確かめるとよいでしょう。

全日本空手道連盟(JKF)の全国加盟団体関係道場一覧
https://www.champ-dev.work/kameidojo

各種お問い合わせ
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そもそも「空手道」とは

「空手道」は、日本固有の武道です。

14世紀頃に沖縄県(琉球国)で発祥したとされており、素手で相手に立ち向かう護身術「徒手空拳(としゅくうけん)」として発展してきました。

現在、空手道は世界200の国で愛されており、世界の競技人口は1億3千万人以上にのぼります。(2024年12月時点)

武道というと、ケガを心配される方も多いかもしれません。しかし、伝統空手の練習では、技を直接相手に当てないことが原則です。そのため、ケガをすることが少なく、年齢や性別を問わずにだれでも取り組むことができます。

空手道の段級位制、帯の色

空手道の帯は、級位や段位が上がるにつれて色が変化します。

上達すると帯の色が変化
【白:初心者】→【色帯(黄・緑・茶など)】→【黒:初段以上】

最初は白帯からスタートし、技術が上達していくと黄色や緑色などの色帯に変わります。そして初段以上になると黒帯を付けることができます。何色が何級なのかは道場によって異なります。

帯の色は、目に見える練習成果であり、お子様にとって真剣に鍛錬するモチベーションにもつながります。

(参考例)
帯の色の変化図

伝統空手とフルコンタクト空手

空手道は、おもに「伝統空手」と「フルコンタクト空手」の2つの種類に分けられます。

  • 伝統空手:伝統的な技術に基づいており、技の正確性を重視する
  • フルコンタクト空手:一定のルールのもと、相手に技を当てる

全日本空手道連盟(JKF)では「伝統空手」のみを扱っています。

伝統空手には、さまざまな流派が存在します。流派によって形やルールが異なる場合もあるため、道場ごとの特徴を知り、お子様に合う道場を選ぶことが重要です。

ここでは基礎知識として、「伝統空手」と「フルコンタクト空手」の違いについてくわしく見ていきましょう。

伝統空手の特徴

「伝統空手」は、伝統的な技術に基づいて試合や練習を行ないます。伝統空手は技の形の正確性を重視しているのが特徴です。

試合は、演武を披露する「形(かた)」や、寸止めが原則の「組手(くみて)」の形式で行なわれ、相手に身体ダメージを与えることは認められていません。また、安全にも配慮しており、組手の試合では安全具を着用します。

伝統空手の特徴
  • 技の形の正確性を重視する
  • 安全具を着用する(組手)
  • 相手に触れない寸止めを基本にする(組手)

伝統空手の道場や組織のなかにも、全日本空手道連盟(JKF)に所属していない団体もあります。

世界空手連盟(WKF)主催の大会に出場したり、オリンピック出場を目指したりする場合は、全日本空手道連盟(JKF)に属する道場である必要があるため、道場を選ぶ際は事前に確認するとよいでしょう。

全日本空手道連盟(JKF)に属さない団体のデメリット
  • 世界空手連盟(WKF)主催の大会に出場できない
  • オリンピックに出場できない
  • 行政からの表彰対象にならない可能性がある

全日本空手道連盟(JKF)の全国加盟団体関係道場一覧
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※加盟道場でも記載されていない場合もございます。

フルコンタクト空手の特徴

「フルコンタクト空手」は、相手に直接打撃を与える点が特徴です。

技の型よりも実践を重視しており、直接的な打撃を与えます。そのため、当然ながら相手選手に触れることが可能です。

フルコンタクト空手の特徴
  • 実践を重視する
  • 相手に直接的な打撃を与える

空手道の2種目

空手道(伝統空手)には、「組手(くみて)」と「形(かた)」の2種類の競技があります。

  • 組手:2人の選手がたたかう競技
  • 形:演武を通し、技の正確さなどを競う競技

それぞれの競技の特徴について、理解を深めていきましょう。

組手(くみて)競技

「第24回全日本少年少女空手道選手権大会」1年生女子組手 決勝戦!

組手とは、相手選手と2人でたたかう競技を指します。

突き・蹴り・投げ・受けなどを駆使した攻防戦で、スピードのある迫力のある試合が特徴です。

組手は「寸止め」が原則で、もし技を強く相手に当ててしまった場合は反則となります。

また、より安全に配慮するため、子供向けの試合ルールも存在します。

子供の組手試合ルール
  • 試合時間が短い:中学生歳は2分、小学生は1分30秒
  • 得点部位への距離が遠くても認められる:中学生・小学生の場合、上段への蹴り技は攻撃部位から10cm以内、手技は5cm以内で止めれば得点になる
  • スキンタッチNG:小学生の場合

形(かた)競技

「第24回全日本少年少女空手道選手権大会」1年生女子形 決勝戦!

形は、「多数の敵との攻防」を想定した一連の動きを、1人で演じる競技です。選手は常に相手(敵)を想像しながら演武を行ない、その正確性・スピード・力強さなどを競います。

形には、1人で行なう「個人形」と、3人のチームで行なう「団体形」があります。

団体形の競技は、形と分解の二部構成です。

団体形の競技構成
  • 形:チーム3名で同じ動きの演武をする
  • 分解:形で想定した敵味方の攻防を実践する

形の練習では、普段あまり使わない筋肉も十分に活用します。理想の全身運動となり、バランスのとれた体の発育にも役立ちます。

また、形は複数の動作を美しく・正確に演じる必要があります。形を正しく理解し、真剣に稽古することで、集中力を維持する訓練にもなるのです。

子供向け空手道を始めるメリット3選

空手道には、武道ならではのメリットがたくさんあります。

  1. 礼儀作法を身に着けられる
  2. 心身を鍛えられる
  3. 社会性を身に着けられる

①礼儀作法を身に着けられる

空手道は、「礼に始まり礼に終わる」という言葉があるほど、礼節を重んじる武道です。

日々の稽古では、空手道を教えてくれる先生、一緒に切磋琢磨する仲間はもちろんのこと、使わせてもらう道場や道具など、あらゆるものに感謝をして取り組みます。

小さな頃から空手道に接することで、感謝の気持ちを持つことの大切さや、あいさつをする習慣を身に着けられるでしょう。また、普段から礼儀正しい所作・考え方ができるようになることも期待できます。

②心身を鍛えられる

空手道は、体の鍛錬だけでなく、精神面の鍛錬にもなります。

空手道では、稽古を通して「心技体」の向上を目指します。これは、技や体だけでなく、心・技・体をバランス良く成長させることを重要と考えているからです。

また、空手道の技術は一朝一夕には身に着きません。日々の稽古では、基本をコツコツと積み重ねていく必要があります。こうした地道な練習は、忍耐力を育んだり、継続的に努力する習慣を身に着けたりするうえでも役立ちます。

また、目標とする級・段に上がることができれば、お子様の自信にもつながるでしょう。

③社会性を身に着けられる

空手道は、幅広い年齢の方に愛されている武道です。

道場に通うことで、小さなお子様から、社会人、高齢者の方まで、さまざまな方と接する機会に恵まれます。

年代を超えたコミュニケーションを通じて、学校生活だけでは身に着けることが難しい対人スキルも学べるのは、大きな魅力といえるでしょう。

子供向け空手道の練習内容

空手道の練習内容は道場によって異なりますが、基本的な練習内容は以下のようになります。

  1. はじめのあいさつ
  2. 準備体操
  3. 基本稽古
  4. 形と組手の稽古
  5. 体力づくり
  6. おわりのあいさつ

①はじめのあいさつ

空手道の練習は、まずあいさつをすることから始まります。全員で黙想し、心を整えてから、元気よくあいさつをしましょう。

②準備体操

丁寧に準備体操をすることで、体の柔軟性が向上し、ケガの防止につながります。

③基本稽古

空手の基礎練習として、受け・突き・蹴りなどの基本的な動作を練習します。下半身の安定性や体幹を意識することで、全身のバランス感覚も鍛えることが可能です。

④形と組手の稽古

形と組手の稽古では、少しずつ技の難しさを上げるので、初心者でも着実に上達することができます。

形(かた)

形は、相手(敵)を想定し、一連の技を行なう競技です。形の稽古では、形を部分的に練習したり、通し練習したりします。

組手(くみて)

組手は、2人1組で突きや蹴りなどを練習します。

ミットを使った技の練習のほか、技の打ち込み、決まった順に技をかけ合う約束組手、自由に技をかけ合う自由組手などの対人練習も行ないます。

⑤体力づくり

組手をする前には、2人1組で突き・蹴りなどをかけ合い、体を慣らしていきます。

また、ランニングや筋力トレーニングを通して、体力・筋力・バランス力を鍛えることも重要です。

体力づくりの例

  • ランニング:心肺機能向上
  • 筋力トレーニング:筋力強化

ランニングや筋力トレーニングは、稽古のなかだけでなく、日々のトレーニングとして取り組んでいきましょう。

⑥おわりのあいさつ

稽古の終了時にも、全員であいさつをします。

空手道の稽古は、師範や仲間たちと協力することで成り立ちます。姿勢と呼吸を正し、気持ちを静めて、感謝の気持ちとともに一日の稽古を締めくくりましょう。

空手道場を探す前に確認すべき2つのポイント

道場を探す際の基本ポイントは「通い続けられるかどうか」「指導方針が合うかどうか」です。

  • 月謝:支払い続けられる料金かどうか
  • 立地:通いやすい場所にあるかどうか
  • 指導者の方針:競技志向なのか、礼節などの教育重視なのか

さらに、以下の2点について事前に確認しておくことで、ミスマッチを防止できます。

  1. 全日本空手道連盟に加入しているか
  2. 伝統空手とフルコンタクト空手のどちらを教えているか

1.全日本空手道連盟に加入しているか

全日本空手道連盟(JKF)に加盟している道場を選ぶのがおすすめです。

全日本空手道連盟(JKF)の空手は、学校教育の現場でも採用されています。そのため道場で得た経験を、そのまま空手道の授業に活かすことが可能です。

また、空手道の大会の多くは、全日本空手道連盟(JKF)のルールに基づいて実施されます。

全日本空手道連盟(JKF)のルールが採用されている大会例
  • インターハイ(全国高等学校総合体育大会)
  • インターカレッジ(全日本大学空手道選手権大会)
  • 国民スポーツ大会(旧国民体育大会)
  • オリンピック

世界に通用するルールや技術を習得できるため、全日本空手道連盟(JKF)に加盟している道場を選ぶのがおすすめです。

全日本空手道連盟(JKF)の全国加盟団体関係道場一覧
https://www.champ-dev.work/kameidojo

各種お問い合わせ
https://www.champ-dev.work/inquiry_info

2.伝統空手とフルコンタクト空手のどちらを教えているか

空手道場は、伝統空手とフルコンタクト空手のどちらを教えているかによって、指導内容が大きく変わります。

また、伝統空手とフルコンタクト空手は、それぞれ無数の流派や会派、団体が存在します。もし道場で無料体験を行なっているようであれば、実際に足を運んでみて、道場の雰囲気を感じてみるのもよいでしょう。

道場選びでは、お子様にとってどのようなやり方が合うかを考え、本人とよく話し合うことが重要です。